一生懸命考えているつもりで、実際は立ち止まっている、という人が意外に多い。
『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』
前に進まない。あるいは、空回りする。気になることがあると、頭がうまく働かず、考えがなかなか深くならない。考えようとしても、目の前の別の課題が目に浮かぶ。集中して考えることができない。行ったり来たりで結論を出せず、時間をかけても深掘りできず、堂々巡りすることになる。
この出だしで始まるのは、赤羽雄二の『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング 』(以下、本書とする)だ。
いろいろなブロガーが紹介をしていたので興味を持ち、近くの図書館で借りて読んでみたら、引用した文がまさに俺に当てはまった。
自分にも心当たりがあると思った人は、ぜひ本書を読んで、「ゼロ秒思考」を身につけてほしい。
この記事を書いた理由
本書を読み終わった俺は、内容をうまく咀嚼できずにいた。
「ゼロ秒思考」は身につけたいが、きっとこのままだと数日したら内容のほとんどを忘れてしまうと思った。
2回ほど通読したがそれでも内容を自分のものにできずにいた。
そのため、3回目に読んだ時には、テキストエディターでメモを取りながら読んでいった。
自分なりにまとめてみると、214ページの中に似たようなことが何度も書いてあった。
それをギュッと凝縮すればより分かりやすくなると思った。
この記事は、読書後のアウトプットの練習であると同時に、俺のように読んだけど内容をうまくまとめきれなかった人の参考になると思って書いた。
ゼロ秒思考とは
これについては本書にうまくまとめられていたので引用させていただく。
もやもやとした気持ちをその場で言葉にし、考えを深められるようになると、考えが進むだけではなく、どんどんスピードアップしていく。3、4日かかって考えていたことが数時間でできるようになる。1ヶ月かかっていたプロジェクトをものによっては1週間で終わらせることもできるようになる。生産性は数倍~数十倍上がる。
『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』
課題が整理され、問題点の本質が見え、本質的な解決策とそのオプションが浮かび、オプションのメリット、デメリットがすぐわかるようになる。問題の本質と全体像を押さえた確実な対策が打てるようになる。
そうした思考の「質」と「スピード」、双方の到達点が「ゼロ秒思考」だ。
ゼロ秒思考を身につけるには
最良の方法が、「メモ書き」である。
頭に浮かぶことを次々とメモに書くだけで、イメージや感覚を言葉にすることに慣れてくる。
だんだん自分の気持ちや思っていることをあまり苦労せずに表現できるようになる。
続けていくと、さらにスムーズに表現できるようになり、仕事上やプライベートのコミュニケーションも相手に伝わりやすくなる。
著者がマッキンゼーに入社した際、インタビューの仕方や分析のやり方などで役立つアドバイスを先輩からもらった。
元々はそれを漏らさず書き留めて、しっかり理解し自分の物としよう、というプロセスから生まれたらしい。
具体的なメモ書きの方法は後で紹介する。
メモ書きをすることによるメリット
ゼロ秒思考ができるようになるためにメモ書きをすることで、以下のようなメリットがある。
- 誰でも別人のように成長できる
- 仕事ができるようになる
- コミュニケーションの悩みも減り、不必要な苦しみから少なからず解放されて生きていくことができる
- 最も基本的な「考える力」を鍛えられる
- 心のコントロールの達人にもなり、ストレスや不安、恐怖が軽減される
- 前向きに明るく生きることができるようになる
- お金がほとんどかからない
- わずか3週間ほどでかなりの効果を体感できる
メモに書くことで、もやもやした思い、懸案事項、考えも整理される。頭がすっきりする。もやっとした思いを言葉に直し、手書きし、目で確認することで、メモが外部メモリになる。そうすると、驚くほど頭の働きがよくなる。そう、人間の頭はそれほどキャパがあるわけではないので、何かに気を取られるとうまく動かないのだ。
『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』
頭がうまく動くだけではなく、なんとなく考えていたこと、なんとなくできていたこと、すなわち「暗黙知」がはっきりと形になる。つまり「形式知」化する。そうか、こうやって自分はやっていたのか、ということを初めて認識する。
メモ書きをすることで、
- 考えをどんどん深めていくこと
- 選択肢を上げ尽くすこと
- それを評価して優先順位をつけること
ができるようになる。この3つは、ウェイトトレーニングと同じで、鍛えれば鍛えるほど力がついていくという。
考えのステップ、頭に浮かんだことを書き留めると、堂々巡りがほぼなくなる。
ある程度悩みをはき出した後は、気持ちが軽くなって、意外なほどアイデアが出て、考えが深まるようになる。
それまで見えなかった全体像がどんどん間近に見えてくる。
最終的には、素早く考えをまとめ、分析をし、深掘りをし、わかりやすく整理して仕上げられるようになる。
具体的なメモの書き方
メモ書き自体はすごくシンプルなのだが、本書を読み進めると、意外と著者がおすすめする使い方がたくさん書かれていた。
- A4サイズの裏紙を横置きにする
→使用済みの紙だと、メモをどんどん書いても気兼ねしないため - 左上にタイトルを書いて下線を引く
- 右上には日付を「2019-1-1」の形式で書く
- 1件につき1ページ
- 1ページに4~6行
→だらだらと書き続けると、大事なことも大事でないことも書き連ねてしまうため - 各行はダッシュ(―)で始め、左寄せで書いていく
- 右側には図を描いてもいい
- 各行20~30字
- 1ページを1分以内で書く
- 毎日10ページ書く(つまり1日10分だけメモを書く)
- 頭に浮かぶまま、余計なことを考えず、感じたままに書く
- 効果がなくなってしまう可能性があるため、はじめはフォーマットは変えないこと
- まとめて10ページ書くのではなく、思いついた時にさっと書く
- 1分を過ぎてどうしても書き足したいことがあった場合、15秒程度延長して書き足していい
- 書いた直後に2~3秒推敲(字句や文章を十分に吟味して練りなおすこと)する
- 追加したい言葉があれば、躊躇せず吹き出しで入れる
- 書き始めて4~5日したところで、5~10個程度のカテゴリーに分ける
- A4のクリアファイルを用意し、ラベルを貼って整理する
- ラベルにはマジックでカテゴリー名を書く
- 毎晩寝る前に、書いた10~15ページをきちんとクリアファイルに分けて入れていく
- メモによっては4~6行それぞれをタイトルとしてさらにメモを書くと思考を深掘りできる
- 似たような、あるいは全く同じタイトルのメモも書いていい
- 1つのテーマを多面的に書くと視野が大きく広がる
- メモは存在そのものが思考の積み重ねであり、自信の源になるため、捨てないこと
- カテゴリー分けしたメモは、3ヵ月後、6か月後の二度の読み返しだけでいい
- 読み返す時は、数分で流し読みするだけでよい
こうして言語化してみると、意外と制約が多いというか、ルールがたくさんあることが分かる。
これについては毎日書いて慣れていくしかなさそうだ。
なぜA4サイズの紙に書くのか
著者がA4サイズの紙にメモ書きすることにこだわるのは、以下の理由があるからだ。
- 思いついた時に素早くメモを書くため
- さっと図を描くため
- 並べて整理することで新たな発見があるため
- フォルダごとに分けて他のA4の資料等と整理しやすいため
また、日記帳やノートではメモの並び替えができないことや、すぐに使い終えてしまうこと、ダイナミックに自分の思考を書き出すことには向いていないためおすすめしないという。
やろうと思えばPCでもスマホのアプリ(Evernoteなど)でもできるだろうが、時間がかかってしまう。手軽さでは、まだアナログの紙に軍配が上がる。
しかし、本書が発売されたのは2013年12月なので、今ほどスマホは普及していなかったはずだ。
だからもしかしたら、今ではA4の紙よりもっと適したスマホやタブレットのアプリが存在する可能性はあるが、俺は知らない(誰か知ってたら教えて!)。
まとめ
続けられる人は少ない、と著者が書いているように、ハードルが低いようで継続するのが難しそうだと思った。
人間の脳はPCと同じで、無駄なファイルを削除して容量を増やすことで動作が軽くなったり、フォルダを整理することで必要な情報にすばやくアクセスすることができるようになるのだと思う。
現時点ではまだメモ書きをスタートしてはいないが、さきほど100円ショップでA4用紙は買ってきた。
こうしてブログにアウトプットしたところで、実際に行動しなければ本を読んだ時間が無駄になってしまう。
事実、本書を3回通読して、このブログにまとめ終えるのに丸々2日くらいかかっている。
だからこそ、この記事を読んで自分に向いてそうだと思ったらAmazonでも、近くの本屋でも、図書館でもいいので本書を手に取って実践してみてほしい。
本書には他にもメモ書き用のタイトルの例がたくさん載っているし、この記事にまとめるにあたって省いたこともけっこうある。
俺はゼロ秒思考を何とかして習得したいので、今後はTwitterでゼロ秒思考のメモをアップしていく予定だ。